税務豆知識

税務調査Q&A  Vo12

今回は、前回に引き続き人件費について、税務調査における調査方法を紹介していきたいと思います。

Q1 人件費について税務署の担当者はどのように調査を進めていくのですか?


A1 税務署の担当者は概ね、次のような点を中心に調査を進めていくものと思われます。


(1) 架空人件費があるかどうかの検討

給与台帳や源泉徴収簿と組織図、配席図、社員名簿、タイムカード等との突合を行い、市役所等に住民登録があるかどうかの照会を行い、不審者を抽出し、架空人件費があるかどうかを検討します。

(2) 個人的費用の付け込みがないかどうかの検討

特に同族会社の場合には、役員の個人的な費用を会社が負担している場合が多く見受けられます。調査においては、法人が支出した経費や取得した資産にかかる領収書、請求書などからその内容を検討し、個人的費用の付け込みがないかを確認します。また、同時に請求書や領収書の書き換えがないかどうかも確認します。

(3) 経済的利益、現物給与がないかどうかの検討

経費科目のうち、福利厚生費、交際費、旅費交通費、地代家賃勘定等の内容を検討し、経済的利益、現物給与の有無を把握し、給与所得として源泉徴収すべきものはないか?あるいは役員賞与とすべきものはないか?を確認します。 また、役員と会社との間の取引を把握し資産の低額譲渡、無利息貸付、債権放棄、資産の高額買入等がないかについても検討します。

(4) 過大な役員報酬や退職金がないかどうかの検討

役員報酬については、定款、株主総会議事録などで役員報酬の限度額が定められているかどうかを確認し、その限度額を越えて支給されていないかどうかを確認します。また、職務内容、その法人の収益状況、使用人との比較、同規模同業種の他の法人との比較等により、その役員に対する報酬が不相当に高額でないかを検討します。役員退職金については、その役員としての在籍期間、退職の事情、同規模同業種の他の法人との比較により検討します。

(5) 過大な使用人給与・退職金の検討

特殊関係使用人(役員の親族や役員の事実上婚姻関係と同様の関係にある者等)に対して支給された給与・退職金のうち不相当に高額な部分があるかどうかについても過大な役員報酬・退職金の実質的な判定と同様の方法で検討します。

(6) みなし役員給与の検討

まず使用人である同族関係者のうち、株主名簿等から、一定の持株割合を有する者を抽出します。 次に、稟議書、経営会議資料などの社内文書から、その者が実質的に経営に従事していないかどうかを検討し、それらの者に支給した賞与が役員賞与に該当するものがないかどうかを調査します。

(7) 使用人兼務役員の検討

使用人兼務役員については、その役員が部長、支店長など職制上地位を有しているか、専務、常務、監査役など使用人兼務役員になれない者でないか、あるいは、オーナー一族など一定の持株を有しているものでないかを確認します。 次に、使用人賞与分としている額の妥当性を、比較対象の使用人に対する賞与との比較で検討します。

(8) 未払賞与の検討

未払賞与については、①その支給すべき額を各人別に、かつ支給を受けるすべての使用人に対し通知しているか、②事業年度終了の日の翌日から1か月以内に通知をしたすべての使用人に対し支払っているか③各人に通知した額を損金経理により未払計上しているかについて確認を行います。

(9) 出向料の検討

親会社などから出向者を役員として受け入れた場合、支払った出向料の中にその出向者の賞与相当額が含まれていないかを検討します。これは、出向者本人に対する給与の支給状況から判定します。そこで賞与相当額が含まれているとされた場合、その金額について役員賞与として申告加算しているかどうかを確認します。また、子会社などから出向料を受け取っている場合には、受け取った出向料と出向者本人に支給した給与の額とを比較して、子会社等に対する利益供与がないかを、確認します。人件費の調査において検討対象となる帳簿書類には以下のようなものがありますので会社の状況を再確認して、あるべきものがないなど整備がされていない場合にはこの機会に整備しましょう。

経費帳、給与台帳、賃金台帳、源泉徴収簿、扶養控除等申告書、株主総会議事録、取締役会議事録、給与振込控、出勤簿、タイムカード、組織図、配席図、社員名簿、履歴書等
 

税務調査Q&A  Vo11

今回は、人件費について、税務調査における調査のポイントを紹介していきたいと思います。

Q1 人件費について調査のポイントには、どのようなものがありますか?


A1 調査の際には、架空人件費の計上など不正計算はないか?また人件費のうち、損金不算入となるものにつき、適正に処理されているかといった点が調査のポイントになります。


人件費のうち、損金算入が認められていないものとしては、以下のものがあります。

(1)役員賞与(事前確定届出給与、利益連動給与を除く)

(2)役員報酬、役員退職金のうち過大部分

(3)役員の親族など特殊関係使用人に対する給与、退職金のうち過大部分

また、人件費の調査においては法人税調査だけでなく、源泉所得税の調査も同時に行われます。

人件費の調査ポイントとしては次のようなものが挙げられます。

(1) 架空人件費はないか ?

人件費における第一の重点項目は不正計算の有無です。そこでまず、会社に実在しない架空の人物やすでに退職した人物に対して架空人件費を計上していないかどうかが調査のポイントとなります。

(2) 役員に対する個人的費用の負担はないか?

特に同族会社の場合、役員の個人的費用を会社が負担している場合が多く見受けられ、調査の際には必ず重点ポイントとなります。 個人的費用の負担が判明すると、認定賞与として法人税の否認が生じると同時に源泉所得税の負担も生じ、かなりの影響になりますので十分な注意が必要です。

(3) 過大な役員報酬、役員退職金を支給していないか?

役員報酬や役員退職金のうち、不相当に高額な部分については損金算入が認められません。その職務内容に照らして比較的多額な役員報酬、役員退職金が支給されている場合にはその妥当性が検討されます。

(4) みなし役員に該当するものの把握

同族関係者など一定の持ち株要件を満たすもので経営に従事しているものは登記上の役員でなくても税務上役員とされ、そのものについて支給された役員賞与については損金に算入されません。このようないわゆる「みなし役員」に該当する者がいないか、またその者に対して支給された賞与の処理は妥当かということが調査のポイントになります。

(5) 役員報酬の額を期中で変動させていないか?

役員報酬を期中で変動させていた場合、遡及して一括支給している場合、役員賞与に該当するものはないか?利益調整のために行われていないか?といった点が検討されます。

(6) 使用人兼務役員に対する賞与の処理は妥当か?

取締役経理部長、取締役支店長などの使用人兼務役員については、そのものが税務上の使用人兼務役員に該当するか?使用人分賞与額の算定は妥当かどうか?といったことが調査のポイントになります。

(7) 未払賞与の計上は妥当か?

利益調整のために期末において未払賞与を計上している場合が多く見られます。 そのような場合、その計上は妥当かということが調査のポイントになります。

(8) 出向料に係る処理は妥当か?

出向料を支払っている場合、その受け入れた出向者が受け入れ先で役員である場合には、支払った出向料のうち役員賞与に該当する部分を自己否認しているかどうかが調査のポイントになります。また、逆に出向料を受け取っている場合には、受け取った出向料の額の妥当性が検討されます。

(9)源泉所得税関係

人件費の調査では法人税だけでなく、従業員や役員に対する経済的利益や現物給与にも着目されます。
 

税務調査Q&A  Vo10

今回は、税務調査で否認を受けないための対応策と誤りやすい事例について述べてみたいと思います。


Q1 寄附金について否認を受けないための対応策について教えてください


A1 寄付金について否認を受けないための対応策としては以下の内容が挙げられます


(1) 国等に対する寄附金の場合   

① 採納の有無の確認      

税務上、国等に対する寄附金とは、国等において採納され、最終的に国等に帰属するものをいうとされています。 従って、法人が地元の公立小学校のパソコンやテレビ等を寄附したが、採納手続が行われておらず、PTAや教職委員の管理になっているような場合には、税務上国等に対する寄附金とは認められません。国等に対する寄附を行う場合(特に物品で寄附を行う場合)、正式な採納手続を経ているかどうかを確認し、採納されたことを証明する資料を入手しておく必要があります。         

② 自己に便益が及ぶ寄附ではないかどうかの確認      

国等に対する寄附金であっても、その寄附により、特別の利益が寄附した者に及ぶようなものについては、税務上国等に対する寄附金とは認められず、その費用は繰延資産とされます。例えば、自社工場前の公道が未舗装であり、資材の搬入などに支障があるため、その公道の舗装費用を国等に寄附をしたような場合がこれに該当します。法人は、搬入作業がスムーズに行われる等の便益を受けるために寄附を行ったわけですから、その費用を繰延資産として計上する必要があります。なお、繰延資産として計上した場合には、その償却期間は、その寄附した施設等の法定耐用年数の10分の4(その施設を寄附した者が専ら使用するものである場合には10分の7)とされています。    

③ 個人的な寄附金ではないかどうかの確認       

法人が国等に対する寄附を行っても、その寄附が、本来その法人の代表者や役員個人が行うべきものである場合には、その費用の額はその代表者や役員個人に対する賞与となります。例えば、代表者の子息が通っている公立高校からその代表者個人で寄附を行うべきところを会社名で寄附を行い、また、その法人とその公立高校とは、業務的にも地域的にも一切のつながりがないような場合等がこれに該当すると考えられます。

④ 私道を国等に寄附した場合の注意事項      

法人が、専らその有する土地の利用のために設置されている私道を国等に寄附した場合には、その私道の帳簿価額をその土地の帳簿価額に振り替えるものとし、その寄附をしたことによる損失はないものとされています。これは、私道の利用に係る土地の効用は、寄附の前後において何ら変わりはなく、私道を寄附してもそのことにより、法人は、何ら損失を被っていないという理由からです。   

(2) 指定寄附金、特定公益増進法人等に対する寄附金の場合    

① 指定寄附金、特定公益増進法人等に対する寄附金に該当するかどうかの確認    
指定寄附金、特定公益増進法人等に対する寄附金については、その他の寄附金とは別枠で損金算入が認められていますが、これらの寄附金に該当するか否かを、領収書や寄附の申出書等により確認する必要があります。   

② 指定期間等の確認 

指定寄附金や特定公益増進法人等に対する寄附金の場合、その寄附について課税上の特例が認められる期間が定められています。これらの寄附を行う場合、指定寄附金についてはその指定期間内に、特定公益増進法人等に対する寄附金の場合は、その団体が特定公益増進法人等とされているかどうかを確認する必要があります。    

(3) その他の寄附金の場合   

① 寄附金の支払日の確認     

寄附金は、現実にその支払いが行われた事業年度において計上すべきものであり、寄附金の未払計上は税務上認められません。また、寄附金を手形で支払った場合には、税務上寄附金とされる日は、手形を振り出した日ではなく手形の決済が行われた日となります。したがって、計上した事業年度内に現実に支払いが行われているかどうかを領収証、受領証等より確認しておく必要があります。    

② 交際費等に該当するものはないかの確認    

寄附金として計上されているものであっても、その寄附の相手先が得意先、仕入先、株主等の事業関連者であり、何らかの直接的な見返りを期待して、金銭や物品等を交付した場合には、その交付に要した費用は、寄附金ではなく交際費に該当する場合がありますので注意が必要です。   

③ 親子会社間取引について、低額譲渡・高価買入の有無の確認

親子会社間取引においては、その取引価額の決定においては、恣意性が介入する余地が大きく、低額譲渡、高価買入となる場合が多く見られます。税務調査の際には、その取引価額の妥当性につき、特に第三者間取引と比較して調査されますので、その算定根拠につき、明確に説明できるように準備しておく必要があります。また、子会社等に対する債務免除、金利減免などの支援は、子会社の倒産を防止するためやむを得ず行われるものですから、合理的な再建計画に基づくもの以外のものについては寄附金とされます。したがって、経営不振の子会社を支援する場合には、合理的な再建計画に基づいて支援が行われているかどうかを確認する必要があります。

④ 他科目に計上されている費用のうち寄附金に該当するものはないかどうかの確認   
交際費、広告宣伝費、会費、販売促進費、雑費等の勘定科目のなかに、事業との関連性が希薄な者に対し、見返り等の反対給付を期待せず、一方的に支出されるものがあれば、そのような支出は税務上寄附金に該当する可能性があります。そのような性質の支出が含まれていないかどうかを確認する必要があります。


Q2 寄付金勘定には、どのような否認事例や誤りやすい事例がありますか


A2 寄付金勘定には、以下のような否認事例や誤りやすい事例があります


(1) 寄附金の計上時期の誤り

領収書等を確認したところ、実際の支出日が翌事業年度であるものを当事業年度の寄附金として処理していた事例。

(2) 指定告示期間外の寄附等      

官庁の告示した指定期間の後に支出した寄附金を指定寄附金として処理していた事例。 また、特定公益増進法人の証明書類(当該寄付金を支出する以前2年以内に発行されたものに限る)の確認をしないで、以前のまま特定公益増進法人に対する寄附金としていた事例。

(3) 採納手続の有無の確認漏れ 

国等に対する寄付金として処理されているものの内容を検討したところ、正式な採納手続きがなされていないことが明らかになった事例。

(4) 開発負担金の処理

開発行為の許可条件に従って支出した費用は、当該開発行為によって取得する資産の取得価額又は公共的施設の設置費用として繰延資産の額とすべきものであるのにもかかわらず、指定寄附金等としていた事例。

(5) 国外関連者に対する寄付金      

海外子会社など国外関連者に対する寄付金については、その支出額が損金不算入となるにもかかわらず、その他の寄付金として損金算入度額を計算していた事例。    

(6) 政治団体に対する寄付      

政治団体に対する寄付金を交際費又は会費として処理していた事例。    

(7) 架空寄附金の計上

現金払い、且つ領収証が手書きである寄附を行った経緯に対する説明も不十分である寄附金につき反面調査を実施したところ、その寄付は架空であり、会社の簿外資金として保留されていたことが明らかになった事例。

(8) 修正申告を行った際の限度額計算の誤り     

修正申告により所得金額が増加した場合には損金算入限度額が増加するのに調整していなっかた事例。

(9) 確定申告書への記載      

指定寄附金等は、確定申告書にその明細の記載があり、証明書等を保存している場合に限り損金算入が認められるにもかかわらず、その記載がないまま、税務計算上、指定寄附金等に該当するものとし損金算入していたもの(但し、宥恕規定あり。)
 

税務調査Q&A  Vo9

今回は、税務調査でもよく問題になる交際費と寄附金の相違点等を中心に述べてみたいと思います。


Q1 交際費と寄附金の相違点について教えてください


A1 交際費と寄付金の相違点については以下のとおりです
 

交際費も寄附金も、金銭や物品、或いは経済的な利益を無償で相手方に与えるという点ではよく似ており、両者の区分や両者の他科目との区分が調査でもよく問題となります。

(1) 交際費とは
 
交際費とは、法人がその取引先等、事業に関係のあるもの等に対して、接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為を行うために支出するものをいいます。 このような交際費は企業活動を行っていく上で必要不可欠な費用とも思われますが、税務上は、その支出が多額となるのを防止して資本蓄積を促進するという趣旨のもと、「原則」としてその一部が損金不算入とされています。

(2) 寄附金とは
 
一方、寄附金とは、法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与等を行うために支出するものをいいます。 寄附金も、企業活動を行っていく上である程度必要な費用であると思われますが、いたずらに法人が寄付を行うのを認めてしまうと、その分法人が納める法人税額が減少してしまうこともあり、税務上一定の損金算入限度額が設けられています。

(3) 交際費と寄附金の相違点

よく、交際費は「贈答」であり、寄附金は「贈与」であると言われます。「贈答」とは、贈ることと返しをすることとされ、何らかの見返りを期待して金品等を贈ることをいいます。一方、「贈与」とは、一方的に財産を与え、見返りが無いものを言います。 このように、交際費と寄附金を区別する基本的な考え方として、交際費は、①法人の得意先、仕入先その他事業に関連するものに対して、②何らかの見返りを期待して法人が支出するものであり、寄附金は、①事業との関連性がないか希薄なものに対して、②見返り等の反対給付を期待せず、一方的に法人が支出するものであるといえるでしょう。
 
(4) 政治家主催のパーティ券の購入費用について
  
本来、パーティ出席に係る費用は、主席者相互の親睦を図るために行われるもので、交際費に該当します。しかし、政治家の主張するパーティは、①その内容に比して参加が高額であること、②パーティ券の購入者はそのパーティに主席する割合が低いにもかかわらず大量に購入する場合が多いこと、③購入者は、パーティに参加するというより、政治家への資金面での応援を行うという認識のもと購入する場合が多いこと等から、一般的には政治活動の資金を集めるために行われると見られているようです。つまり、パーティ券の購入費用の実態は政治家に対する政治献金であると考えられます。このようなことから税務上、政治団体に対する拠出金は寄附金に該当するものとされており、一般的に政治家主催のパーティ券の購入費用も同様に取り扱われています。ただし、そのパーティに主席し、政治家や参加者との交流を深める目的でパーティ券を購入した場合や、得意先に贈答するために購入した場合には、寄附金ではなく交際費と認識される可能性もありますので注意が必要です。パーティ券の購入費用を寄附金処理した場合には、調査の際にパーティに出席するために購入したものではなく、実質的には政治献金であることを説明できるようにしておくことが必要となります。そのためには、事前に、パーティ開催の案内状、式次第、購入枚数、当社からの参加人数等が明らかになる資料をそろえておくことが重要です。
 

税務調査Q&A  Vo8

 今回からは、寄附金勘定について、税務調査における調査のポイント及びその調査方法についてみていきたいと思います。寄附金は企業会計上はその全額が費用となるべきものですが、法人税法上は一定の損金算入限度額が設けられています。税務調査においても他の科目との区別、親子会社間取引等がよく問題となります。


Q1 寄附金勘定についての目のつけどころにはどのようなものがありますか?


A1 寄附金勘定の調査は以下の点を中心に行われます


(1) 寄附金の計上時期が妥当かどうか
  
寄附金は税務上、現実に金銭や資産等を引き渡した時点で寄附があったものと認識されますので、税務調査の際にはその計上時期が妥当かどうか検討されます。

(2) 国等に対する寄附金、指定寄附金、特定公益増進法人等に対する寄附金についてはその要件を満たしているか      

これらの寄附金については、一般の寄附金とは別枠で損金算入の特例が認められています。ただし、それぞれの寄附金について、指定期間、募集目的等その特例が認められる要件があり、それらの要件を満たしているかということが調査のポイントになります。

(3) 個人的費用に該当するものはないか

本来は、社長等の個人が行うべき寄附を法人で行う場合がよく見受けられます。寄付金を計上した場合には、その寄附を行った経緯等から、個人的寄附金を法人が負担していないかどうかという点も検討されます。


(4) 繰延資産に該当するものはないか

例えば、国や地方公共団体に寄付を行った場合でも、自己が便益を受ける公共的施設を寄附したような場合には、その費用は国等に対する寄附金には該当せず、繰延資産として計上しなければなりません。

(5) 親子会社、関連会社等のグループ法人間における取引価格は妥当か

親子会社間の取引は、第三者間の取引と異なり、その取引価格を恣意的に決めることが容易であり、その取引を通じて子会社等に利益供与を行ったり、債務免除、無利息貸付、無償での人材派遣等の利益供与が行われる場合があります。このような利益供与は原則として寄附金に該当するため、親子会社間等の取引については利益供与の有無が調査のポイントになります。


Q2 寄附金勘定について税務署の担当者はどのように調査を進めていきますか?


A2 寄附金勘定について税務署の担当者は経費帳、領収証、受領証のみならず、相手からの寄附の要請書、礼状、寄附を行うことを決定した際の稟議書、役員会議事録等の資料をもとにして以下のような点を中心に調査を進めていきます。


(1) 領収証など証憑類からの検討 

寄附金の計上時期は、現実に金銭や資産等を引き渡した時点ですので、領収証等から金銭や資産等の変動を確認し、未払計上を行っていないかが調査されます。また、国等に対する寄附金の場合には、採納手続きが行われたことを証する書類があるかどうか、指定寄附金、特定公益増進法人に対する寄附金については、寄附の要請書等からそれらの要件に該当する寄附金であるかどうか、領収証や受領証等の日付から指定期間内に寄附が行われているかどうかということについても調査が行われます。

(2) 寄附を行った経緯からの検討 

寄附を行った場合、その寄附に至った経緯も検討対象になります。例えば、本来、役員個人に寄附をお願いしたものを法人がその寄附を負担し、相手方も寄付は個人から受けたという認識がある場合には、その寄附金は役員給与に該当する可能性が高いものです。 また、国等に対する寄附の場合であれば、その寄附自体、自己が便益を受けるためのものであり、繰延資産に該当するものでないかどうかを確認する必要があります。 このような寄附を行った経緯について、相手方からの要請書、稟議書、社内会議資料、寄附の申出書、採納通知者、寄附が現物で行われた場合には、その現物にかかる請求書、領収証、請負契約書等から検討し、寄附金処理の妥当性を検討されることがあります。

(3) 寄附を行った相手方からの検討  

寄付金は、本来、事業との関連性がない者か、希薄な者に対して支出されるものをいいます。従って、寄附の相手先が事業との関連性が深い得意先や仕入先等である場合には、その寄附が何らかの見返りを期待して行われた贈答、すなわち交際費に該当するのではないかという点から調査は進められます。寄附の相手方が事業関連者である場合には、その内容につき、寄附の申出書、稟議書、社内会議資料等から検討が行われることになります。

(4) 親子会社間取引で寄附金に該当するものがないかの検討 

親子会社間やグループ会社間取引において、商品の販売対価、固定資産の譲渡対価、受取手数料の対価などが、第三者間との取引における取引対価や時価と比べて低額でないかということを検討します。また、子会社等に対して無利息貸付や利息免除、債権放棄、出向者の無償提供などの利益供与を行っていないかを稟議書や社内会議資料等から検討します。 なお、子会社を再建するために合理的な再建計画に基づいて支援を行っている場合、その支援にかかる費用は寄附金に該当しないこととされていますが、このような場合、再建計画の有無及びその再建計画が合理的なものであるかどうかについても再建計画書、稟議書や社内会議資料等より調査を行います。

(5) 不正計算の有無の検討  

不正計算については、領収証、決済状況、寄付に至るまでの経緯等を調査し、その寄附金の計上が簿外資金を捻出するために架空計上されているものでないか、あるいは、交際費課税や使途秘匿金課税を免れるために仮装計上されているものでないかを検討します。
 

税務調査Q&A  Vo7

 今回は、前回と同様交際費勘定について税務調査での否認事例及び誤りやすい事例について説明していきたいと思います。

Q1 交際費勘定の否認事例としてはどのようなものがありますか。

A1 交際費勘定の否認事例としては次のようなものが挙げられます。 

 交際費勘定の否認事例は様々なケースがありますが、よく見受けられるのは不正計算を理由に否認される場合です。例としては次のようなものが想定されます。

(1) お中元・お歳暮の費用 

お中元やお歳暮にかかる金額のうち単価が3,000円以下のものを抽出して、少額であるとの理由で交際費から除外していた場合。

(2) 社員慰労のための費用  

特定の社員のみを対象とした「慰労」という名目で高級料亭、クラブ等における飲食の費用を福利厚生費として処理していた場合。

(3) 居酒屋での会議費  

本来、会議をするのにふさわしくない場所での飲食費等を打ち合わせのための会議費として処理していた場合。

(4) 会議が終わった後での飲食費等 

得意先との会議が終わった後に打ち上げと称して料亭で飲食した費用を会議費として処理していた場合。

(5) 得意先の役員に対する売上割戻し 

売上割戻しを得意先ではなくその役員や従業員個人に対して行っていた場合。

(6) 業務用資産でないものによって行われた売上割戻し 

売上割戻しと同一基準で得意先に物品を交付しているが、その物品が宝石・貴金属類・ゴルフクラブセットなど事業用資産に該当しないものによって行っていた場合。

(7) 談合金の仮装経理 

談合金の支出先を明らかにするのを避けるために外注費として計上し、帳簿類に架空の作業内容を記載していた場合。

(8) 地元対策費の捻出  

工場建設の際に生じた地元住民の反対を抑えるために地元の有力者に支払った工作活動費を設計料等で仮装していた場合。

(9) 情報提供料の支出  

情報提供を業としていない者に対して支払った情報提供料について、契約に基づいて支出しなければ交際費となるため、後日契約書をバックデートして作成した場合。


Q2 交際費勘定の誤りやすい事例を教えてください。

A2 交際費勘定の誤りやすい事例としては次のようなものが挙げられます。 

(1) 接待に係るタクシー代を交際費として処理していなかった事例  

得意先等を接待した時にタクシーを使用したときは旅費交通費ではなく交際費になります。具体的には得意先等の接待を行う場所まで移動するためのもの、得意先を自宅まで送り届けるためのもの、接待を行う自社の社員が接待場所まで移動するためのもの、自社の社員が深夜に帰宅するためのものなどが該当するものと思われます。

(2) 売上割戻しと同一基準で商品券を交付しているにもかかわらず交際費として処理していなかった事例

商品券など引き換える物品が特定されていない商品引換券を得意先などに交付した場合、たとえそれが売上割戻しと同一基準で交付されたものであってもその費用は交際費に該当します。(旅行券、観劇券、御食事券なども同様です。)ビール券、図書券などのように引き換える物品が特定されているものについては、売上割戻しと同一基準で交付した場合、その券面額がおおむね3,000円以下と少額であれば交際費には該当しません。

(3) 売上割戻しを売上高や売掛金の回収高に比例して実施していなかったとして交際費処理していた事例 

得意先がある営業地域の特殊事情、協力度合い等を勘案して金銭で支出した費用については、交際費に該当しないとされています。

(4) 社長の長男である専務の結婚披露宴の費用を、その披露宴に得意先等を多数招いたとの理由で交際費処理していた事例

結婚式や結婚披露宴は社会通念上、個人的色彩が強い私的な行事であり個人が負担すべきものです。従って、得意先などを多数招いたとしても交際費ではなく専務に対する役員賞与として取り扱われます

(5) 役員に対する渡し切り交際費を交際費として処理していた事例

役員などに接待に使用するという名目で毎月定額を支給し、しかもその使途については報告を求めないという、いわゆる渡し切り交際費というものがあります。この渡し切り交際費は支給された者の給与として課税されます。これが、給与とはされず法人の交際費であると処理するためには次のような点について注意する必要があります。

①必ず領収書などによりその使途を明確にしておくこと

②領収書が取れない場合はその状況をできるだけ詳細に記録しておくこと

③渡し切りにせずに必ず精算を行うこと
 

税務調査Q&A  Vo6

今回は、前回に引き続き交際費についての否認を受けないための対応策について説明していきます。

Q1 交際費について否認を受けない対応策について教えてください。

A1 交際費について否認を受けない為の対応策については以下の点が挙げられます。
 

交際費について否認を受けない為の対応策について最も重要なことは、交際費以外の科目に交際費に該当するものが含まれていないかどうかを確認することです。以下この点について科目別にポイントを挙げて述べて行きます。

(1)  会議費

会議費と交際費の区別は、しばしば税務署との間でトラブルになります。会議費とは来客との商談、打ち合わせに際して社内または会議を行うにふさわしい場所において、昼食の程度を超えない程度の飲食物の供与に要する費用を言います。両者の区分のポイントとしては時間帯、場所、単価、アルコールの程度はどうか等があり、これらの点から税務調査では交際費に該当するものはないかを確認することとなります。従って、税務署との無用のトラブルを避けるためにも社内で基準を作成し統一的に処理することが望ましいと思われます。また、一般的に単価3,000円程度迄の飲食費は会議費としても良いというようなことがよく言われますが、税務上会議費として認められる具体的な金額基準はありませんので注意が必要です。

(2)  売上割戻し
 
得意先などに対して、売上高に比例して、或いは売上高の一定額毎に金銭で支出するものは売上割戻しに該当し、交際費には該当しません。しかし、割戻しを金銭ではなく物品等の交付で実施する場合、例えば、宝石などの貴金属類、商品券、食事券など業務用資産(棚卸資産や相手方が固定資産として販売または使用することが明らかな物品)や少額物品(購入単価がおおむね3,000円以下の物品)以外のものを交付すると交際費に該当します。また割戻金をその得意先などではなく、得意先等の役員や担当者個人に支払った場合には、たとえ金銭で支払った場合であっても交際費となります。

(3)  販売促進費
 
一般顧客から新規の客を紹介してもらったことに対する謝礼金などのように、情報提供を業としていないものに対する謝礼金については次の3つの要件の全てを満たしていなければ交際費になります。

①その金銭などの交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること(契約は必ずしも契約書の形で作成されたものだけに限りません。)

②提供を受ける役務の内容がその契約において具体的に明らかにされていること

③交付した金品の価額が役務の内容に照らして相当と認められること

(4) 福利厚生費
 
交際費における接待の相手方は得意先や仕入先だけとは限りません。会社の役員、従業員、株主、地域住民等も含まれます。したがってたとえば社内において特定の従業員だけを飲食により慰労するような場合には交際費とされる場合があります。

(5) 広告宣伝費
 
 通常広告宣伝活動は、不特定多数の一般消費者を対象として行われるものです。従って、例えば次のような者は一般消費者には該当しませんので注意が必要です。

①医薬品メーカーや医薬品販売会社の医師や病院

②化粧品メーカーにおける理美容院

③建材メーカーにおける建築業者等

(6) 旅費交通費
 
 交際費には得意先等を接待、供応するための費用がすべて含まれます。従って接待の際に得意先をタクシー等で送迎する費用や、手土産代等も交際費となります。これらの交通費等を交際費に含めていない法人が多く見受けられますので注意して下さい。

(7) 会費
 
 親睦を目的とした同業者団体の会費やロータリークラブ、ライオンズクラブ等の入会金や通常会費等は交際費に該当します。自社が加入している同業者団体の会則などを入手して内容等を確認し、交際費とすべき会費でないかどうかを確認する必要があります。

※ その他の交際費になる会費の例
ゴルフクラブの会費やプレー代、名義書換料(新規に会員権を取得した場合を除く。)、ロッカー代等

(8) 寄付金
 
 事業に直接関係のない者に対して金銭や物品などを贈与した場合には、原則として寄付金として取り扱われます。従って、寄付金勘定の中に事業に関連する者に対する支出が含まれていないかどうか、また含まれている場合には、それが交際費に該当するものでないかを十分に検討しておく必要があります。

(9) 交際費等から除かれる「一人当たり5,000円以下の飲食費等」
 
 平成18年4月1日以降に開始する事業年度より1人当たり5,000円以下の飲食費(但し、いわゆる「社内飲食費」は除かれます。)については交際費とは別に損金算入が認められていますが、この規定を受ける為には財務省令で定める書類の保存が必要となります。従って、当該規定を適用している法人については書類の保存はされているか、また要件には合致しているかどうかを再度確認しておく必要があります。(令21条の18の2に規定する要件を具備しなければなりません。)

(10) その他
 
 その他、入札における談合金の支出や総会対策としていわゆる総会屋に支払う費用も交際費とされますが、これらの支出は外注費、支払手数料、広告料、情報提供料等の科目に仮装して支出されることが多いようです。従って、税務調査においてこれらの支出が交際費であるとして否認された場合には、科目や支払う理由を仮装しているとして重加算税の対象となる場合があります。これらの支出は本来はあってはならないものですが、仮に支出する場合には、間違いなく交際費として処理しておくことが必要となります。
 

税務調査Q&A  Vo5

今回は、交際費勘定の税務調査に関する事項について述べていきたいと思います。

交際費とは、租税特別措置法において「交際費、接待費、機密費その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」をいうとされています。 

従って、その範囲は広く、支出の相手方は、得意先、仕入先だけではなく、同業者、従業員、株主、地域住民などの事業関係者が含まれます。また、単なる飲食、贈答の費用だけではなく、謝礼金、リベート、情報提供料、談合金、地元対策費なども交際費に含まれる場合がありその処理について誤りが散見されるところです。 

さらに、その否認額は、翌期以降認容(翌期以降に所得から減算されること)とならず、社外流出項目となるため、その影響は大きくなります。


Q1 交際費勘定の目のつけどころとしてはどのようなものがありますか?


A1 交際費勘定の目のつけどころとしては以下のようなものがあります。
 

(1) 本来交際に該当する取引を交際費に該当しない取引に仮装して処理していないか?

交際費課税を免れるために、人数の水増し、請求書・領収書の内容の改ざん、バックデートによる契約書の作成などの仮想行為が行われている場合があります。このような不正行為が明らかになれば当然、重加算税対象の否認となります。

(2) 交際費以外の費用科目の中に交際費に該当するものが含まれていないか?

これは、いわゆる「他科目交際費」の検討といわれるもので必ず行われるものです。特に誤りやすい勘定科目としては、会議費、支払手数料、売上割戻し、広告宣伝費、福利厚生費、給料、寄付金、雑費などが挙げられます。

(3)  固定資産や棚卸資産の取得価額の中に交際費に該当するものが含まれていないか?  

交際費は、その支出が行われた事業年度において課税関係が生じます。したがって固定資産や棚卸資産の取得価額に算入されておりその期の損金になっていない場合でも、その交際費は支出した期の交際費として損金不算入の対象にしなければなりません。

(4) 交際費の中に個人的費用や使途秘匿金に該当するものが含まれていないか?

法人が交際費として処理している費用の中にも、その内容が役員等の個人的費用や使途秘匿金に該当するものが含まれている場合があります。この場合、役員等の個人的費用であればその役員に対する給与(あるいは賞与)として源泉所得税の問題が生じます。また使途秘匿金であれば使途秘匿金課税(40%の税額加算)の問題が生じます。よって、損金不算入対象とされている費用も調査のポイントとされる場合があります。


Q2 交際費勘定について税務署の担当者はどのように調査を進めるのですか?


A2 担当者によって相違はありますが、概ね次のような点を中心に調査は進められるものと思われます。


(1) 会社内部におけるチェック体制の把握

まず、どのような費用を交際費として処理しているのか、また、その判定は誰があるいはどの部署が行っているのか、交際費の支出の承認はどの部署が行っているのかなどの会社内部のチェック体制を把握します。

(2) 元帳、経費帳、証憑類、契約書などからの検討

次に、元帳、経費帳などから交際費に該当すると思われる費用を抽出し、それに係る請求書、領収書、契約書などからその内容を検討し、交際費加算漏れの有無を調査します。その際、特に請求書、領収書に人数の水増し、内容の書き換えなどの改ざん、契約書がバックデートで作成されていないか等を重点的に調査します。

(3) 社内決裁文書などからの検討

稟議書や社内の決裁文書などから費用に支出目的、支出内容を検討し、交際費に該当するものがないかを検討します。

(4) 交際費に係る予算、実績からの検討  

会社によっては各部署や担当者ごとに交際費の予算を定めている場合があり、その予算を超えて交際費が必要になった場合に他の科目に仮装して支出を行い交際費課税を免れようとする場合があります。そのため、各部署の予算、実績状況を把握し、交際費課税を検討する場合もあります。

(5) 業種、業態からの検討  

各業種、業態に応じ、特有の交際費支出があります。よって、税務署の調査担当者は、その業種、業態に特有の支出について、準備調査の段階で十分理解した上で調査に臨み、これらの支出が交際費として処理されているか、また、計上がない場合には他の科目に仮装されていないか等の検討を行います。例えば建設業においては地元対策費・談合金・元請担当者に対するリベート、医薬品製造販売業における病院や医者に対する利益供与などがこれに該当します。

(6) 反面調査の実施  

調査対象法人の社内の帳簿や資料だけではその取引実態が明らかにならない場合は、その支出先に対して反面調査を行い取引内容を確認する場合もあります。

 

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売掛金科目を取引先ごとに補助を取った場合の元帳です。

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補助を取っていない場合の元帳です。

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税務調査Q&A  Vo4

今回は、棚卸資産勘定について税務調査における目のつけどころ等を紹介していきたいと思います。棚卸資産についても税務調査においては売上勘定 仕入勘定とともに最も重要な調査科目の1つとなります。その理由は、棚卸資産はその額が多額になる場合が多く、その多寡により、課税所得が大きく影響を受けるからです。 
また、棚卸資産は、取引先など外部への影響を考えることなく会社の内部だけで容易にその計上額の調整が可能であること、また調整をしたとしても翌期に戻しいれられるため、翌期にはその調整が治癒されることから、利益調整の手段として利用されることが高い科目だからです。


Q1 棚卸資産勘定の目のつけどころとしてはどのようなものがありますか?

A1 売上高に対応する売上原価の計算要素として期末棚卸高がありますが、売上原価の計算上期末棚卸高が過少に計上されれば当期の売上原価は過大に計上されることとなります。したがって、税務調査においては、期末棚卸計上額が過少となっていないか、すなわち、簿外の棚卸資産はないか、棚卸資産の過小評価はないかがポイントとなります。具体的には以下の3点を中心に調査が行われます。

(1) 棚卸除外はないか

これは、期末の棚卸数量を意図的に除外する不正行為です。棚卸除外は売上原価が過大計上されるのはもちろんのこと、棚卸除外により生じた簿外資産をさらに簿外で売却したり、翌期に棚卸除外分に見合う架空仕入を計上してつじつまを合わせるといった不正につながる行為である。 税務署の調査担当者はまず、棚卸除外の有無に調査の重点を置きます。

(2) 棚卸資産の数量、評価は過少ではないか

計算誤りなどにより期末の棚卸数量が過少になっていないか、また単価については税務署に届け出た棚卸の評価方法により計算がなされているか、また、単価が過少に計上されていないかがポイントとなります。

(3) 評価損、廃棄損の計上は妥当か

評価損は内部的に計上ができるため、その妥当性について検討を行います。 すでに、市場価値がないような棚卸資産については廃棄した上で廃棄損を計上する場合がありますが、調査においては廃棄の事実の有無、計上時期の妥当性について検討を行います。


Q2 棚卸資産について、税務署の担当者はどのように調査を進めるのですか?

A2 調査担当者によって進め方には相違はありますが、概ね次のような点を中心に調査を進めていくものと思われます。

(1) 棚卸資産計上までの過程の聞き取りをする

期末棚卸高は通常、実地棚卸をして、そこで把握した数量に単価を付して棚卸表を作成、棚卸表における集計額を期末棚卸として計上します。このような過程において、いつ、誰が、どのように実地棚卸をし、把握した数量を集計し、単価を付けたのか、ということを聞き取り不審点はないかを調査します。

(2) 実地棚卸の際の原始記録を確認する

実地棚卸の際に使用した棚卸票、メモ書きなどの原始記録を把握し実際に棚卸を行っているか、原始記録における数量と最終的な棚卸表における数量とに差異はないか等を検討します。

(3)  棚卸資産の保管状況を現場に臨場して確認する

棚卸資産の保管状況を確認するため、倉庫や資材置き場などに臨場し調査日現在の資産の状況、長期滞留商品の有無、商品受払の手続き、現場における作成帳簿等を把握します。


(4)  期末前後の売上、仕入から期末数量の妥当性を検討する

(5)  調査日現在の商品有高から期末数量の妥当性を検討する

特定商品について調査日現在の有高を把握し、次に決算日から調査日現在までの売上、仕入数量を把握することにより、期末棚卸高の妥当性を検討します。

(6)  預け在庫の計上漏れの有無を検討する

業者の倉庫に預けてある商品が漏れているケースが頻繁にみられるため、倉庫保管料などの計上の有無を確認したあと、預け在庫の全部または一部が簿外となっていないかを確認します。 また、仕入先や外注先に預けてある商品や原材料、仕入先が発送し当社にまだ到着していない商品(未着品という)などについて漏れていないか検討します。

(7) 仕入単価などから期末評価の妥当性を検討する

棚卸資産の評価について税務署に届け出た方法により正当に計算されているかを検討します。また、購入に際しての付随費用が棚卸資産の取得価額に適正に含まれているかについても検討します。

(8) 評価損計上の妥当性を検討する

(9) 廃棄損計上の妥当性を検討する

実際に当該棚卸商品が期末までに廃棄されたかどうかを確認するためまず、その商品を廃棄した理由を聞き取ります。その後、廃棄業者から受領した原始記録や社内稟議書など廃棄の事実が明らかとなる資料から、計上の妥当性を検討します。
 

税務調査Q&A  Vo3

仕入勘定も売上勘定とともに税務調査においては重点的な調査科目です。
今回は仕入勘定について税務署の目のつけどころ、調査方法、対応策等を前回に引き続き述べていきたいと思います。


Q1 仕入勘定について税務署の目のつけどころとしてはどのようなものがありますか?

A1 仕入勘定の調査は、架空仕入がないか、仕入の繰上計上がないかという点を中心に行われます。以下主なポイントを挙げていきます。

(1) 架空仕入(注)はないか

税務署の調査は、不正発見が主な目的であることからまずこの点を重点的に調査します。
具体的には法人(あるいは事業者)が記帳している帳簿や、保管している証憑類を様々な角度から検討します。

(注)架空仕入とは意図的に仕入取引がないにもかかわらず、帳簿に記載して仕入があったように仮装することです。

(2) 仕入れの繰上計上はないか

適正な期間損益計算の観点からの検討で、本来翌期に計上すべき仕入を当期に計上していないかという点を調査します。

(3) 簿外仕入、簿外売上はないか

仕入を簿外にすれば法人にとって不利になりますが、簿外仕入と同時に簿外売上を行う場合も想定されるため調査では簿外仕入の有無も検討します。

(4) 仕入値引、返品の処理は妥当か

仕入値引、返品が確定しているにもかかわらず未処理となっていないかを検討します。


Q2 仕入勘定について税務署はどのように調査を進めますか

A2 税務署の調査担当者によって進め方は様々ですが、概ね次のような点を中心に調査を進めていきます。

(1) 取引の流れ、法人(事業者)が作成している帳簿等の把握

まず事業概況を把握するため発注から入荷、検収、代金決済までの流れを聞き、その流れに従って各段階でどのような帳簿等を作成しているか、またどのような証憑類が保管されているか、どのような事実や帳簿等をもとに仕入を計上しているかを検討します。そして、このような流れの中で架空仕入や仕入繰上計上の有無を調査します。

(2) 仕入の計上時期の妥当性の検討

商品等の流れからみて仕入れの計上時期が妥当かどうか検討します。また期末前の仕入の納品書を調査しその中に翌期のものが含まれていないかを検討します。

(3) 仕入代金の決済状況等からの検討

例えば通常は代金決済が振込であるが、特定取引だけ現金決済である等イレギュラーな取引について決済が妥当かどうかを検討します。

(4) 取引態様からの検討

スポット取引、遠隔地取引、取引金額がラウンド数字のもの等についてその計上が妥当かどうか検討します。

(5)  買掛金残高からの検討

長期にわたり買掛金残高が多額の取引先について、架空仕入、仕入取消、返品,値引の事実の有無等を検討します。

(6) 証憑類からの検討

市販の領収証等を使っているもの、手書きのものなどを中心に不審な証憑類を抽出し架空仕入の有無を検討します。

(7) 反面調査の実施

以上の調査により不審な仕入先が把握された場合、その仕入先に対して反面調査を実施し、その取引の妥当性を検討する場合もあります。


Q3 仕入勘定について否認をされない対応策はありますか。

A3 物の流れや、代金決済状況等から事前に仕入や仕入値引、戻し、返品の計上時期について妥当かどうか再確認しておくことが必要です。対応策としては次のようなものが挙げられます。

(1) 物の流れからの確認と整理

売上の場合と同様モノの流れからの検討が重要です。納品書、検収書控、入庫記録などからモノの流れを把握し、実際に計上すべき日に仕入を計上しているかどうかを再度確認します。
また調査の際には自社で作成している帳簿や証憑類を基に物の流れとお金の流れを示し、仕入をどの時点で計上しているかを税務調査の担当者に説明できるよう整理しておくことが必要です。

(2) 買掛金残高からの確認

買掛金残高が多額になっている仕入先に対してその原因を解明することにより仕入れの金額が過大になっていないか確認しておくことが必要です。

(3) 翌期の仕入値引、戻し、返品等からの検討


Q4 仕入勘定否認の例としてはどのようなものがありますか。

A4 仕入勘定否認の例としては次のようなものがあります。

(1) 現金取引、スポット取引(単発取引)からの否認事例

現金取引、スポット取引(単発取引)の仕入先に対して反面調査を実施したところ架空の取引であった。

(2) 証憑類の検討からの否認事例

市販の領収書や請求書のある取引先からの仕入が架空であった。

(3) 買掛金残高からの検討による否認事例

買掛金残高が多額の仕入先について検討したところ、仕入の返品処理が計上漏れであった。

(4) 仕入単価の変動からの検討による否認事例

利益調整のために当期の仕入単価を過大に計上し、翌期に仕入値引の形で訂正処理をしていた。

(5) 商品入荷記録からの検討による否認事例

倉庫における入荷記録がない仕入を検討したところ架空であった。

(6) 工事原価の付け替え

建設業において、未成工事(期末時点で未完成の工事)に係る原材料等の工事原価を完成工事原価に付け替えていた。

 

税務調査Q&A  Vo2

 前回お話ししました税務調査に関する内容(「売上」科目)の対策等について述べてみたいと思います。


Q1 売上について否認を受けないための対策はありますか?

A1 税務署の調査に対する事前準備として売上の繰延べや売上計上漏れ等がないかを以下のような点から検討することは可能です。


(1) 物の流れからの検討

御社で提供する物やサービスの流れから実際に計上すべき日に適正に売上が計上されているかを再度確認することが必要となります。

また、調査の際にモノの発注から納品、代金決済までの流れを税務署の調査担当者に説明できるようにしておくことも重要です。

(2) 翌期に計上している売上からの検討

翌期に計上している売上について、納品書や物の動きを再度確認し、当期の売上として計上すべきものはないかを確認します。

(3) 金額が未確定のものも売上に計上されているかの確認

出荷基準を採用している場合、出荷済みではあるが金額未確定のものについても売上を見込みで計上する必要があります。

(4) 売掛金残高の確認

売上計上が漏れており入金だけ記帳されているような場合もあり、売掛金残高からの確認は重要です。

(5) 現金管理の徹底の必要性

特に現金商売の場合は、現金の入出金管理が徹底さされているかが最大のポイントとなります。


Q2 売上について税務調査で指摘された例としてはどのようなものがありますか。

A2 指摘事項については、以下の様な項目があります。


(1) 納品書の控え及び領収書控えから

翌期の納品書控えを検討したところ、納品日が当期のものが発見されたり、会社が保管している領収書控えと帳簿の売上勘定を突合したところ売上除外が判明した。

(2) 売掛金残高から

御社の売掛金残高と取引先の買掛金残高を照合した結果、残高が不一致であることが判明した。

(3) 資料の突合から

税務署の調査担当者が持参した資料と帳簿の売上を突合したところ、売上除外が判明した。

(4) 個人名義の預金の入金状況から

代表者の個人名義の預金の入金状況を確認したところ売上除外代金が入金されていた。

(5) 代表者の借入金から

実際は売上であるにもかかわらず、代表者借入金として処理していた。

(6) 現金監査の実施から

現金商売について、現金監査を実施したところ、実際の現金有高のほうが金銭出納帳有高より多く現金売上の除外が判明した。

 

税務調査Q&A  Vo1

税務調査において税務署は何を中心に調査をするかといえば一番の主眼はその法人や個人が不正を行っていないかどうかということです。
すなわち、売上除外、架空仕入、棚卸除外、架空経費、架空人件費、利益調整等の不正計算をしていないかどうかということを中心に調査を行うこととなります。
これらの事実の有無を見極めたうえで、次は税務上誤りやすい科目について、税法に従って正しく処理されているかということを調査することになります。
 まずは、最も重要科目である売上から税務署の目のつけどころ、調査方法を紹介することとします。


Q1 税務署は売上のどこに着目して調査するのですか?

A1 売上の目のつけどころとしては、次のようなものがあります。

(1)売上除外(注)はしていないか。

売上除外の発見は帳簿等に載っていない取引を発見することになるわけであり税務署にとっても簡単なことではありません。
がしかし様々な手法を駆使して発見に努めることになります。
例えば売上発生に関連する費用から調査する方法、モノの動きから調査する方法、売上代金決済状況から調査する方法、現金管理状況から調査する方法、法人代表者や個人事業主の個人預金の動きより調査する方法などあらゆる角度から調査を実施し売上除外がないか検討をします。
(注)売上除外とは、意図的に売上を帳簿に計上しないことをいいます。

(2)売上の計上漏れ(繰り延べ)はしていないか。

これは正しい期間損益計算がなされているかといった観点で調査するものであり、翌期の帳簿に計上されている売上の中に調査対象期の売上とすべきものはないかを検討するものです。


Q2 売上勘定について税務署はどのように調査を進めるのですか?

A2 調査を進める順序は、担当者によって様々ですが、次のようなポイントを中心に調査を進めるのが一般的です。

(1)取引の流れ、作成帳簿等の把握

まず、会社や個人事業の事業内容を把握することに努めます。
すなわち、モノの受注から出荷、相手方の検収、代金回収までの流れを聞き取りその中でどのような帳簿や記録が作成されているか、またどの時点でどのような事実や帳簿等を基に売上を計上しているかを把握します。
そして、把握した取引の流れ、帳簿等を基に売上除外の有無や売上繰延の有無を調査します。

(2)売上の計上時期が妥当かどうかの検討

売上の計上時期が税法に照らして妥当かどうかの検討です。
モノの販売は引き渡しがあった日に売上を計上します。
その引き渡しがあった日をいつとみるかによって、出荷基準、検収基準、使用収益基準,検針基準などがありもっとも合理的な基準を採用します。

(3)翌期の売上からの検討

翌期に入ってから1ヶ月~2ヶ月位の売上請求書控、納品書控や帳簿等を調査し、調査対象期の売上にすべきものがないか検討します。(売上の繰延べの有無の検討)

(4)他の費用項目からの検討

モノの引き渡しに関連する費用項目について(例えば運賃、手数料等)領収証等原始記録から売上計上の妥当性を検討します。

(5)資料との突合による検討

税務署の収集している資料(法定資料など収集形態は多岐にわたる)との突合によって売り上げ計上の妥当性を検討します。

(6)代金決済状況からの検討

代金決済がすべて完了しているが売上計上のないものがあればその処理の妥当性について検討します。


(7)現金有高からの検討

この方法は現金商売の業種によく使われます。
事前通知なしに会社や事業所に臨場し実際の現金有高と金銭出納帳残高を突合し不一致がないか検討すると共に現金管理状況を検討し売上除外の有無を検討します。

(8)売上領収証控からの検討

領収証控やレジペーパーなど売上の基となる記録を把握し売上勘定と突合し、売上除外の有無を検討します。


以上が、税務調査における「売上」科目の目のつけどころの概要になります。

次回は、上記における対応等を述べてみたいと思います。

 

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変動費と固定費のイメージ図です。

変動費と固定費



変動損益計算書です。

変動損益計算書



変動費と固定費の分解は非常に大切なので、ご確認くださいね。

 

節税対策について

3月も終わり法人決算の時期が今年もやってまいりました。
そこで、今回は決算時の節税対策について取り挙げたいと思います。

1.決算時の節税・税金対策①(未払い費用)

 未払いの費用の計上漏れはありませんか?

取引先から請求を受けた費用で当期に対応する部分については、実際に支払っていなくても当期の経費として計上します。

税務調査で正しく説明出来るように、請求書等の資料はしっかりと管理しておくことが大切です。

また、給料等の締め日が20日の場合、21日から月末までの支払い分についても経費計上が可能です。

ただし、役員報酬は日割り計上できませんので、対象外です。

未払いの費用を漏れなく計上しましょう。

※未払いの費用の例…家賃・保険料・賃借料・利息etc…


決算日現在未払いであるが、発生している経費については、当期の経費に計上できます。


2.決算時の節税・税金対策②(固定資産税・償却資産税)

 固定資産税や償却資産税を未払計上していますか?

固定資産税を分納している場合や支払期限が未到来の償却資産税の納付書がある場合、
未払い分も経費にできます。

つまり、固定資産税や償却資産税は、納税通知書が送付された日の属する事業年度において、未払計上することで、全額が経費に計上することができるというわけです。

3.決算時の節税・税金対策③(保険)

 役員退職金・従業員退職金用の保険は掛けていますか?

法人で契約する保険には、支払保険料の全額又は一部を経費に計上できるものがあります。

具体的には、長期平準定期保険、養老保険やがん保険等は、保障の面だけでなく、節税にも効果のある保険があります。

また、保険料を年払いにすると節税効果がアップします。

節税と福利厚生目的の両方を達成できるのがメリットであり、自社の福利厚生制度に合致した商品があれば契約を検討するのもいいと思います。

なお、退職金規程をきちんと作成しておきましょう。

※従業員の場合は、中退共(中小企業退職金共済)と保険との2階建てが一般的な形です。


4.決算時の節税・税金対策④(不良在庫)

 売れ残りの在庫等の不良在庫はありませんか?

売れ残り在庫はできるだけ売り切りましょう。

売却できない不良在庫は、廃棄もしくは評価損の計上を検討しましょう。

評価損の計上時には、時価の根拠をきちんと説明できるように注意してください。



5.決算時の節税・税金対策⑤(消耗品)

 すぐ使用するような消耗品を購入していませんか?

消耗品に関しては、一定数量を取得し、かつ、経常的に消費する場合、その消耗品を棚卸とせずに、取得時に全額経費として計上ができます。

ただし、期末時に一時的に大量に購入したものなどは、当期の経費として計上ができません。

ですから、少なくとも決算日2ヶ月前からの決算対策が大切になるのです。

このような消耗品とは、具体的に、

・事務用消耗品
・手袋等の作業用消耗品
・包装材料
・広告宣伝用印刷物
・見本品
などがこれに該当します。

なお、パソコンの備品等に関しては取得価額が10万円未満であれば、
減価償却計算せずに、一時に経費に計上できます。

10万円以上の備品等の場合、資産に計上しなければなりません。

しかし、取得価額が20万円未満であるなら、一括償却資産として3年均等償却(3期で経費計上)できます。

※ただし、取得&事業の用に供した備品等に関しては、30万円未満なら事業供用時に全額経費として計上することができます。(青色申告等の要件が必要です。)


6.決算時の節税・税金対策⑥(決算賞与)


 決算賞与の支払いを検討しませんか?

従業員へ賞与を支給した場合には、原則として、支給日に、会社の経費に計上することになります。
 
例えば、賞与の計算期間が12月から6月分を、7月10日に支給というような場合には、7月10日に経費に計上することとなります。

しかし、一定の要件を満たせば、実際に支給していない賞与を未払計上することが認められます。

このためには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

①その支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての社員に通知していること。

⇒通知した金額を通知した従業員全員に必ず支給しなければなりません。
つまり、通知した日から支給日までの間に退職した従業員に対して、支給しないということはできません。
支給日時点で、支給することが確定していますので、支給しなければ、決算賞与の要件に該当しないこととなります。

②上記の①で通知した金額をその通知したすべての社員に、その通知した日の事業年度末の翌日から1ヶ月以内に支払うこと。

⇒3月決算の会社であれば、4月30日までに決算賞与を実際に支給しなければいけません。
これを過ぎると、通知日(当期)ではなく、支給日(翌期)で、経費計上することになります。

③その支給額について通知した事業年度に経費として計上していること。

⇒決算書にきちんと経費として計上しましょう。


決算賞与についてよくある質問

①決算賞与の通知手続きはどうすればいいの?

決算賞与については、税務調査時に通知をしたかどうかの確認が必要となるので、書面で決算賞与を通知するようにしましょう。

たしかに、社長が口頭で従業員に伝えても上記の要件は満たしますが、税務調査で問題になる可能性があります。

決算賞与の書面通知方法としては、2通りの方法があります。

1つ目の方法は、個別に決算賞与支給明細を渡す方法です。

2つ目の方法は、決算賞与一覧表を作成し、従業員に提示する方法です。
この場合、従業員から確認の押印又はサインをもらうようにしましょう。
 
いずれの場合でも、決算賞与については、通知日が問題になります。

日付をきちんと入れることを、忘れないでください。

②決算賞与に対する源泉徴収税額の算出方法はどうすればいいの?

賞与の場合の源泉徴収税額は、給与と金額が異なります。

この金額を計算する場合に使う数字は、次の2つです。
 
・前月の給与の総支給額から、非課税の通勤手当等と社会保険料を控除した金額
・扶養親族の数

この2つの数字を、源泉徴収税額表(賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表)に当てはめると、税率がわかります。

その税率を、賞与額にかけて、源泉徴収税額を計算します。

ただし、前月の給与がない場合、又は、前月の給与の10倍以上の賞与を支給する場合には、毎月の給料計算で使う「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を使うことになります。


7.決算時の節税・税金対策⑦(社員旅行)

 決算対策として社員旅行を検討しませんか?

決算対策として、社員旅行に行くという会社もよくあります。

通常、社員への給料となり、社員に所得税がかかるのですが、次の要件を満たす場合には、社員旅行が福利厚生費として処理することができます。

滞在日数が4泊5日以内

全社員の参加割合が50%以上であること

例えば、社員旅行の期間が5泊6日を超えますと、これは福利厚生の範囲を超えているとされ、その費用は税務上、旅行者本人に給与として支給されたことになります。

もちろん、給与となれば社員本人に所得税がかかってしまいます。

これを上記の2要件を満たしておけば、会社は経費に計上でき、本人には所得税がかからなくて済むというわけです。

社員旅行は最近では海外に行く場合も少なくありません。
そういう場合4泊6日となることがあります。

この場合は、目的地での滞在日数が4泊5日を超えなければよいとされます。

以下のようなケースは福利厚生費とはなりませんのでご注意ください。

・。旅行費用が高額なとき・・・給料とみなされる可能性があります。
・。特別豪華なホテルへの宿泊・・・交際費になる可能性があります。
・。特別豪華なレストランでの食事・・・交際費になる可能性があります。
・。常識を超えた遊興・・・交際費になる可能性があります。
・。不参加の社員へ金銭を支給する・・・給与となります。

上記に気をつけて、社員旅行はなるべく福利厚生費に範囲で収まるようにしましょう。

旅行費用の金額としては、一般的に、1人あたり10万円以内が一つの目安となります。

処理方法についても質問がよくありますのでまとめておきます。

処理方法

1.福利厚生費として処理(社員本人に所得税の課税はありません)

2.給与として処理(社員本人に所得税が課税されます)

①特定の社員を対象として行った場合
②自己都合による不参加者に費用相当額を支給する場合
・・・・ 参加者・不参加者全員が給与課税
③会社都合による不参加者にのみ費用相当額を支給する場合
・・・・ 不参加者は給与課税、参加者は給与課税なし

3.交際費として処理(税金計算上、経費に計上できる金額が制限されます)

①会社が得意先・仕入先を旅行に招待した場合

②製造業者が、卸売業者の行う小売業者招待旅行費用の全部又は一部を負担した場合

4.広告宣伝費として処理(交際費に含める必要ありません)

①製造業者・卸売業者が抽選により一般消費者を旅行に招待した場合

②製造業者・販売業者が一定の商品等を購入する一般消費者を
旅行に招待することをあらかじめ広告宣伝して、その者を旅行に招待した場合

最後に社員旅行に関して、税務調査の対策をご紹介しておきます。


社員旅行の税務調査対策

社員の人数が多くなると、社員旅行の金額も大きくなり、
税務調査で必ず質問されます。

税務調査のときに困らないように、旅行の日程表やパンフレット、
参加者のリストなどを残しておくようにしましょう。

 

中小企業者等に対する欠損金の繰戻し還付制度が復活致しました

中小企業者等に対する欠損金の繰戻し還付制度が復活        

 平成21年度の税制改正(平成21.3.27成立)で、中小企業者等に対する欠損金の繰り戻し還付制度が復活することとなりました。
 
 我が国経済の基盤となって産業競争力を支えている中小企業については、金融不安や景気後退の影響を受けやすいことから、その経営を支援するため、現在適用が停止されている欠損金の繰戻し還付制度を復活することにより、赤字に陥っている中小企業の資金繰りを支えるための措置と考えられます。
 
 中小企業者等の欠損金の繰戻しによる還付制度については、その他の改正事項とは異なり、平成21年2月1日以後に終了する事業年度において生じた欠損金額から適用が可能となります。


 1 中小企業者等の欠損金の繰戻しによる還付制度の適用 

(1)改正前の制度
 
 欠損金の繰戻しによる還付は、法人が青色申告書である確定申告書を提出する事業年度において欠損金額がある場合には、その事業年度(以下「欠損事業年度」といいます。)開始の前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」といいます。)の所得の金額のうちに占める欠損事業年度の欠損金額に相当する金額の割合を乗じて計算した金額に相当する法人税の還付を請求できる仕組みになっています(法法80①)。
  
① 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告書である確定申告書を提出していることが必要です。
② 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していることが必要です。
③ 還付を受けようとする法人税の額、その計算の基礎その他財務省令で定める一定の事項を記載した還付請求書を提出することが必要です。(法法80③、⑤、法規36の4)

 ただし、上記の欠損金の繰戻しによる還付の規定については、一定の特例に該当する場合を除いて、原則として、平成4年4月1日から平成22年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金については適用されないこととされています(措法66の13①)。

(2)改正の内容
 
 欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置について、不適用対象から次に掲げる法人を除外し、これらの法人の各事業年度において生じた欠損金について、欠損金の繰戻しによる還付制度の適用ができることとされました(措法66の13①、68の98)。
 
① 普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社等を除きます。)
② 公益法人等又は協同組合等
③ 法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされているもの
④ 人格のない社団等

(3)適用関係
 
 平成21年2月1日以後に終了する事業年度において生じた欠損金額について適用されます(改正法附則47、62)。

※ 前年度に黒字であった法人が、経営の悪化に伴い今年度赤字に陥った場合、前年度に納付した法人税を還付してもらうことが出来る仕組みです。

 
     前期の法人税               当期の還付金額

500万円×22%=110万円       前期法人税×当期欠損金÷前期所得金額
                   110万円×200万円÷500万円=44万円
                      (当期が200万円赤字の場合)

 

平成21年3月19日発行のメルマガで使用します。

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PDFファイルグラフです
 

平成21年度税制改正のあらましについて

平成21年度税制改正の大綱が、昨年12月12日に自民・公明の与党より、これを踏まえて12月19日に財務省より発表されました。今年度の改正案は、景気回復を念頭に置いた減税措置に重きを置いた内容となっています。主な改正予定事項をまとめてみました。

(1)中小企業関係税制

① 法人税の軽減税率の引下げ

現行の制度においては、中小法人等について、所得金額のうち年800万円以下の金額に対する法人税率は、22%と軽減税率が適用されています。それが、平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する各事業年度については、さらに18%に引き下げられることになります。つまり、1年決算法人であれば、一般的に平成20年4月2日以降開始した事業年度から適用されるため、すぐに恩恵を受ける法人も多いのではないでしょうか。



② 欠損金の繰戻し還付制度の適用が可能に

中小法人等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額については、欠損金の繰戻しによる還付制度(以下、「繰戻し還付制度」)の適用ができることになります。つまり、一般的には平成20年2月2日以降開始した事業年度から適用されることとなります。

繰戻し還付制度とは、前期が黒字で当期が赤字となった場合に、前期に納めた法人税の一部の還付を受けられるというものです。

現行では、平成4年4月1日から平成22年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金については、解散等の特殊な場合を除き、この制度は適用できないことになっています。

具体的に数字を入れて説明致します。

前期の所得が600万円で132万円の法人税を納税したとしましょう。

当期が500万円の欠損金だった場合に繰戻還付される法人税は次のように計算されます。

132万円×500万円÷600万円=110万円


(2)住宅・土地税制

① 土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除制度の創設

法人又は個人が、平成21年及び平成22年中に取得をした国内にある土地等を、所有期間が5年を超えた後に譲渡した場合には、譲渡益から1,000万円が控除されるという制度が新たに創設されます。

② 平成21年及び平成22年中の土地等の先行取得をした場合の課税の特例の創設

法人又は個人事業者が、平成21年及び平成22年中に国内にある土地等を取得し、その取得をした事業年度後10年以内に、所有する他の土地等の譲渡をしたときは、譲渡益の80%(平成22年中取得の場合は60%)相当額を限度として、取得土地について圧縮されます。あくまで課税の繰り延べがされるだけで、免除ではありませんので注意が必要です。

なお、土地等の取得をした事業年度の確定申告期限までに、一定の届出の提出が要件とされています。

③ 特定事業用資産の買換えの特例期限の延長

適用期限が平成20年12月31日までとされていた、特定の事業用資産の買換えをした場合の課税の繰り延べの特例が、平成23年12月31日までに延長されます。


(3)その他の主な改正

①  法人税関係

(イ)中小企業等基盤強化税制
適用期限を2年(H23.3.31まで)延長

② 住宅・土地税制 所得税

(イ)住宅ローン控除

H21~H25までの間に居住の用に供した場合、10年間で最高500万円~200万円(認定長期優良住宅に該当するものは、最高600万円~300万円)が所得税から控除される。控除可能額が所得税を超える場合は、年間最高9.75万円まで住民税から控除される。

(ロ)長期優良住宅新築等の場合の特別控除の創設

長期優良住宅の普及の促進に関する法律の施行日からH23.12.31までの間に、認定長期優良住宅を新築等し、居住の用に供した場合、一般的な住宅よりも割高になった建築費用(1,000万円を限度)の10%相当額が所得税額から控除される。(上記の住宅ローン控除との併用は不可)

(ハ)住宅の改修工事をした場合の特別控除の創設

一定の省エネまたは、バリアフリー改修工事を行い、H21.4~H22.12までの間に居住の用に供した場合、工事費用の額等(200万円(太陽光発電装置を設置する場合は300万円)を限度)の10%相当額が所得税額から控除される。

③ 住宅・土地税制 法人税

(イ)土地重課制度

適用停止措置の期限を5年(H25.12.31まで)延長


尚、上記は決定事項ではございませんので、ご参考までにお願い致します。
(H21.02.23)

 

役員給与に関するQ&A

生活支援定額給付金、裁判員等に支給される旅費・日当・宿泊料

生活支援定額給付金および裁判員等に支給される旅費・日当・宿泊料に対する税務上の取り扱い

1.生活支援定額は一時所得に、年末調整に関係せず
 
麻生総理が、景気対策として給付金を交付すると発表されました。
家族4人あたり平均60,000円位になるそうですが、本当に効果はあるのでしょうか?
新聞報道等では様々な観測が言われていますが、現時点では給付金は現金支給かどうか、対象者・給付時期・給付方法などはまだ決まっていません。
では、この給付金の支給が決定し、支給を受けるであろう私たちは税務上どのような取り扱いをすれば良いのでしょうか?
この給付金は「一時所得」として課税対象となりますが、「一時所得」には50万円の特別控除枠があるので、偶発的に多額の一時所得が発生するケースでない限り、基本的には平成11年に実施された地域振興券と同様に、課税関係が生じにくいと考えられます。

しかし給付金対象は先の地域振興券より広く課税対象であることにも変わりないため、平成21年度税制改正大綱には「所得税を課さないこととする」「個人住民税を課さないこととする」と明記することになった。所得税については、租税特別措置法に設ける規定で、個人住民税では地方税法の特例を定める附則の規定で、それぞれ非課税とすることを改正法案で盛り込むことになると考えられます。
 なお、定額給付金を実施するための「平成20年度補正予算案」は、通常国会招集日の1月5日に国会へ提出、13日に衆院を通過し参議院へ送られている。

2.裁判員等に支給される旅費・日当・宿泊料に対する取り扱い

平成21年5月21日より裁判員制度が実施されます。
当該法律により裁判所から呼び出しを受けた裁判員候補者等が、裁判員選任手続きの期日に出頭した場合や選任された裁判員等が裁判の日に出頭する場合には、旅費・日当及び宿泊料(以下「旅費等」)が口座振込みにより支給されます。

裁判員などに支給される旅費等に関する所得税法上の取扱いを国税庁はこのほど、最高裁判所からの照会に答える形で明らかにしました。

① 裁判員等に対して支給される旅費等は、その合計額を雑所得の総収入金額に算入する。
② 実際に負担した旅費及び宿泊料、その他裁判員等が出頭するのに直接要した費用の額の合計額については、旅費等に係る雑所得の金額の計算上必要経費に算入する。

裁判員などに支給される旅費などは、労務提供の対価として使用者から受ける給付とはいえないから給与所得には該当しない。また、実費弁償的な対価としての性質を有していることから一時所得にも該当しないと判断。その合計額を雑所得に係る総収入金額に算入するとし、実際に負担した旅費及び宿泊料、その他裁判員等が出頭するのに直接要した費用の額の合計額については、旅費等に係る雑所得の金額の計算上必要経費に算入することになります。
 

貸倒損失の計上時期

 取引先に対する売掛金・貸付金等が回収できない場合、貸倒損失として費用に計上することができます。
 ただし、貸倒損失として計上できる時期は、法律で定められており、費用に計上する時期が違う場合には、税務調査で否認されます。

 貸倒損失が認められるのは、次の3つのケースが想定されます。

【税務】

(1) 実質的に債権が消滅した場合 ⇒ その事実が発生した時点
 ① 会社更生法等の法律上の手続きにより債権が切り捨てられた場合
 ② 債権者集会の協議決定等で債権が切り捨てられた場合(私的整理)
 ③ 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、弁済不能のため債務者に対して債権放棄の通知を出した場合

(2) 全額回収不能と認められる場合 ⇒ 回収出来ないことが明らかとなった時点
 債務者の資産状況・支払能力等からみてその“全額”が回収できないことが明らかな場合
 ※ 実務上は、全額回収不能を立証することは難しいのが現状です。

(3) 最終取引から1年以上弁済がない場合等(売掛金の特例) ⇒ 1年経過時点最終取引から1年以上経過した場合又は取立費用の方が売掛金より多い場合

 税務調査で問題となるのが、取引先が倒産し、夜逃げ等の状態になってしまった場合に貸倒損失で計上している場合です。
会社更生法などにより法的整理を行い、債権カットされれば上記(1)に基づいて貸倒損失を計上できますが、夜逃げ等の状態では、貸倒損失の計上はできません。
この場合、貸倒損失に計上するには、決算までに債権放棄の通知を出すか或いは取引停止後1年経過するのをまってから貸倒損失に計上するかのどちらかを選択することになります。

 税務調査では「貸倒損失」は重要チェック事項ですので、損失の計上時期に注意しなければなりません。





 

法人税の書面添付割合が5.7%に上昇

財務省は、平成20年10月10日付けで「平成19事務年度 国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価書」を公表しました。

これによりますと、平成19事務年度の税理士法第33条の2に規定する書面の添付割合は法人税で5.7%と前事務年度(5.4%)に引き続き上昇しています。

この制度は、簡単に言いますと、確定申告書を税務署に提出する際に、この33条の2に規定する書面を添付した場合は、税務署はこの書面を添付した会社に税務調査をする前に、この書面を添付した税理士に意見を述べる機会を与えなければいけない(税理士法第35条(意見の聴取))とあります。

となれば、この書面を添付しておれば、税務調査が行われる前に税理士に意見聴取の連絡が入り、結果として突然の税務調査がなくなるという素晴らしい制度になろうかと思います。

ただし、税理士法35条の文面には、「・・・、当該申告書に係る租税に関しあらかじめその者に日時場所を通知してその帳簿書類を調査する場合において、」という前提をおいています。つまり「あらかじめ・・・通知して・・調査する場合」でなければこの規定(意見聴取)はないということになります。

いわゆる税務調査をすることを納税者に事前に話してしまうと事実が得られないと考えられる現金商売の方などへの調査はこれにあたり、「通知しなくてする税務調査」になれば税務調査前の意見聴取も不要になります。

この規定があるばっかりに、この35条の意見聴取は非常に不完全なものとなっており、書面添付率が上がらない原因になっているのでしょう。

ただし、国税庁が発表している事務運営指針にも書面添付制度の活用をきっちり公表しており、正しい運用が望まれることを税務当局も認識しています。

今後さらにこの制度が充実することを願うばかりです。


当事務所は、基本的に書面添付割合は100%です。申告書を提出すれば書面を添付するようにしています。


法人の税理士関与割合が19事務年度で86.8%。添付割合が5.7%。添付率が上昇しているとはいえ、いかに低いかが分かります。

今後の添付率上昇を願うばかりです。


西川

 

役員報酬Part2

定期同額給与の額を改定した場合の損金不算入額

突然期首より7ヶ月経過した時点で代表者より、「人件費を支払うキャッシュが不足するので自分の役員報酬を減額した。」と報告がありました。

その時私は、どうしよう!!定期同額給与じゃなくなっちゃう・・・。
事務所に帰って調べまくりました。でも、増額の事例は結構あるのに減額の事例はなかなか載ってないんです・・・。

で、やっと見つけた平成18年12月に国税庁が出している「役員給与に関する質疑応答事例」の中にあったものを紹介します。

事業年度の中途で定期給与の額を減額した場合で下記①又は②に該当しないとき、例えば、経営の状況が悪化したものの「著しい悪化」までは至らないケースについても、原則として、その事業年度における定期給与の支給額の全額が、定期同額給与に該当しないこととなります。ただし、当初、定期同額給与として支給していた給与について減額改定を行い、減額後もその各支給時期における支給額が同額である定期給与として給与の支給を行っているときには、本来の定期同額給与の額は減額改定後の金額であり、減額改定前は、その定期同額給与の額に上乗せ支給を行っていたものであるともみられることから、減額改定前の定期給与の額のうち減額改定後の定期給与の額を超える部分のみが損金不算入となります。

① 定期給与の額につき当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3月を経過 する日(以下「会計期間3月経過日」といいます。)までにその改定がされた場合にお ける次に掲げる定期給与(法令69①一)
 1) その改定前の各支給時期(当該事業年度に属するものに限ります。2において    同じ。)における支給額が同額である定期給与
 2) その改定以後の各支給時期における支給額が同額である定期給与

② 定期給与の額につき当該法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類す る理由によりその改定がされた場合(減額した場合に限り、①に該当する場合を除き ます。)の当該事業年のその改定前の各支給時期における支給額及びその改定以後の 各支給時期における支給額がそれぞれ同額である定期給与(法令69①二)

長々と載せちゃいましたけど、この法人の場合減額前の報酬と減額後の報酬の差額の7ヶ月分のみ損金不算入になり代表者の方に説明し、了承していただきました。

広重




 

リース契約について

消費税を特に気をつけて下さい。

 少し前になりますが、いわゆるリース契約にかかる取引が改正されました。「所有権移転外ファイナンス・リース」が売買処理によることとされました。ただし法人税法上は、借り手が賃借料として経理した場合、その金額は償却費として損金経理をした金額に含まれるとされていますので、原則として賃貸借処理をしたとしても、申告調整は不要となります。会計指針は賃貸借処理を行った場合は、未経過リース料を注記することを求めています。企業が賃貸借処理を選択したとすれば改正前と後で原則的には内容に変更がないということになります。


 改正前と後の一番大きな変更点は消費税法です。改正前は、毎月のリース料支払い時に課税仕入れを認識していました。改正後は、売買処理によらず賃貸借処理を選択している場合でも消費税の仕入税額控除の時期については、引渡し時点で一括処理することが通達上確認されました(改正消費税基本通達11-3-2)。となれば、平成20年4月1日以後リース契約については、消費税の処理について気をつけなければいけません。日々の仕訳について使用している会計ソフトよっては、それぞれこの点について処理が必要でしょう。さらに決算の際にもソフトによって、この仕入税額控除について別途計算をかける必要がある場合も出てくる様子です。いずれにせよ影響する税額が大きくなる場合が多いと予想されますので注意が必要です。平成20年4月1日以後のリース契約は、別途控えておき備忘記録を作っておきましょう。
 

耐用年数適正化

平成20年4月30日に耐用年数に関する改正がありました。

主に機械装置を中心に資産の種類が大括り化されました。(耐用年数表別表2で390から55へ)耐用年数が長くなったもの、短くなったもの、どちらもあります。

気をつけたいのは、「平成20年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用する」(省令の附則第2条 個人は平成21年分以後)

とありますので、平成19年4月1日以後に取得された資産に限らず既存の資産も全て改正された耐用年数を当てはめて、減価償却費を計上するということになります。


ですから、減価償却費を予算計上している場合は、新しい耐用年数で計算された償却費を計上しなければいけません。


気をつけたいですね。


ただし、上記390から55へ大括り化されたものの、その新旧の対応関係がはっきりしていないようです。

また公表されればお知らせします。
 

自社の株価をご存知ですか?

御社の貸借対照表上の資本金の額はいくらですか?300万ですか?1,000万ですか?


会社法が改正されましたので、上記以外の資本金の会社もたくさんあると思います。


ところで、この資本金○○円は、いわゆる 帳「簿価」額 ということをご存知ですか?


増減資がなければ設立時に出資者が拠出した金額です。


しかし今現在のこの資本金の価値(時価ですね)は、この簿価とは違います。


老舗企業によくあることですが、この時価が非常に高くなっていることが多々あります。


自社の株式の時価、お分かりになる方は少ないと思います。しかし、事業承継・相続を考えるとオーナーが引退する前にできる対策はたくさんあります。



当事務所は、別途報酬をいただきますが、この時価の算定から事業承継対策・相続対策もきっちり提案させて頂きます。



 

①作って下さい、経営理念を

①経営理念を作って下さい。

経営理念を作ったからといって、売上は計上できませんし飯も食えません。

しかし必ず必要です。

「売上倍増」「利益の追求」「規模拡大」などを最優先にしてしまうと、

極端な場合、顧客無視・周囲の環境との不調和・不祥事 などをおこし、

会社崩壊にもなりかねません。


社長の事業を始めたときの熱い思いを言葉にして全社員に提示して下さい。


②できた経営理念を全社員で共有して下さい。

社長だけが、その理念を理解していても、従業員にまで浸透していなければ意味がありません。みなさんで、その思いを共有して下さい。


当事務所では、経営理念とは何?というところから どうやって作ればいいの? できた理念を共有するにはどうすればいいの?などなど きっちり自社で運用できるようお手伝いさせて頂きます。



 

②ビジョンはありますか?それを達成するための経営戦略は?

ビジョンとは、中長期(3-5年後)に達成すべき具体的な目標です。

会社のイメージは?
業界でのポジション(順位・シェア)
売上高/経常利益
負債/自己資本
従業員満足度 など

将来こうなっている という 絵 ですね。


できたビジョンを掲げているだけでは、達成は不可能でしょう。

そのビジョンを実現するための道筋として、経営戦略 があります。


社長、日々の雑務に追われてませんか?社長のやるべき仕事がここにあることに気づいて下さい。


そして、当事務所も一緒に考えさせて下さい。御社の戦略を。
 

③次は、経営計画です。 そして落し込み(PDCAサイクル)

当事務所では、関与先様と一緒に次年度経営計画書を必ず作るようにしています。


経営計画書、作っていますか?なぜ作りませんか?

将来の売上のことなんて分からないし、当らないから?

めんどくさい?


簡単です。当事務所は社長と一緒に作ります。社長に5つの質問をするだけで、作れます。

本当に簡単なので、是非一緒に作りましょう。



この計画書を事業年度の始めに作り、その後一切利用されなければ全く意味がありません。

月次決算ベースで、実績と計画の乖離原因の追究をきっちりしなければ、作ってもしかたがないですね。

なぜ、売上が増えて(減って)いるのか?
なぜ、限界利益率がよく(悪く)なっているのか?
なぜ、固定費が減って(増えて)いるのか?などなど

大きくみて、そこから各項目を細かくチェックしていく。そして、A(Action)、次の行動が自ずと決まります。


実は、経営理念の作成→ビジョン確立→経営戦略立案→経営計画作成→PDCAサイクル  は、一つの流れです。

この仕組みを作り上げる!
社長の仕事は、ここにあります。日々の実務よりなにより大切なものは、ここなんです。


当事務所、ガッツリお手伝いさせて頂きます。お任せ下さい!



 

社内規定整備していますか?

就業規則、賃金規定、退職金規定、慶弔規定、旅費規定、社宅規定
あげればきりがありませんが、整備されていますか?

小さい会社だから関係ない  とか考えていませんか。

規定があるから、それに従って各種手当などが出せます。(費用になる)

規定がなければ、その手当の根拠があいまいなものになってしまいます。
費用にならない とはいいませんが、きっちり整備しておくべきでしょう。


整備すれば堂々と費用にできるのですから。

役員(従業員)社宅
日当
夜食
通勤費
慶弔金
退職金

その他色々あります。

「小さいな事からコツコツと」 節税の基本ですね。


当事務所は、社会保険労務士事務所と連携を取って規定も確実に整備していきます。

 

気になります?同業他社

顧問税理士に「うちは、よその同業と比べて数字は 良いんですかね?」

って聞いてみて下さい。

あまり はっきりした答えが 返ってこないと ちょっとつまらないですよね。


当事務所は、TKCのBASTを使って同業者比較をきっちりします。

特に確認する項目は、

○労働生産性
→よくあります、その会社に人が多すぎる事が!
「一人当たり人件費は高く 労働分配率は低く」

○限界利益率
→変動費、固定費のところから話をしますが、そのあたりで社長さんが聞いていないのが分かります。
ここ大事ですよ。

○資本効率
→金を突っ込んだら当然ある程度利益が出ます。しかし1億投資して、100万しか儲からない事業をやっても意味がないですよね。
今流行りの毎月分配型ファンドにでもお金を入れて家で寝ているほうがよっぽど楽です。

小さい資本でガッツリ儲ける。難しいですが、一緒に目指しましょう。


当事務所では、まず関与先様のおかれている状況をきっちり説明し、社長のこれからの目標を織り込みつつ日々の経営助言をさせて頂いています。

 

役員報酬 Part1

事業参加されている身内はたくさんいらっしゃるでしょうか?

社長1人で高い給料を取るより、分散したほうが有利です。

ただし、注意点


○勤務実態がないと×  (働いてもいないのに給料は出せない)

○最近の税制改正で 分散も気をつけてする必要あり。



自分の給料でさえルールに乗っ取って支給しないと費用ではない!と否定される時代になりました。なぜそこまで縛られなくてはいけないのか。 なぞです。



当事務所では、法人の所得も勘案し、関与先様に最適な役員報酬を支給して頂くように提案しています。

 

小規模企業共済制度

中小企業基盤整備機構がやってます。

簡単に言うと、個人事業主や中小会社役員が加入できる「共済」で掛金が全額所得控除できます。さらにその掛金は、共済金として退職金または年金の形で原則全額受け取れます。


当事務所は、高齢の方でも加入を積極的に薦めています。
もちろん私も全額(月7万 年84万)掛けています。
 

中小企業倒産防止共済制度

同じく中小企業基盤整備機構がやってます。
いわゆる取引先が倒産した場合無利子でお金を貸しますよ、という制度です。

結構この倒産の定義が細かいので、この無利子貸付はオプション的に考えて節税商品と捉えたらどうかと考えます。

掛金が経費になります。解約すれば原則として掛金全額が返ってきます(返金時収益計上必要。)
当事務所満額加入です。(月8万 年96万)
 

消費税は2年間免税?

消費税 やっかいな税金です。赤字でも納税しなくてはいけない。

税額を関与先様にお伝えするとき結構みなさんビビリます。

「高いねぇ!」って

この悪名(?)高い消費税ですが、免税の期間があることをご存知ですか?


個人事業者であれば開業年と翌年は消費税を納める必要がありません。

法人も資本金1,000万未満にして設立すれば設立年度と翌年度は免税なんです。

これは、法人成りしても同じです。つまり課税事業者である個人事業者が会社を設立したら設立年と翌年は免税!なんですよ。



○できれば個人事業からはじめる(法人設立時に2年間の免税期間を使える)
→個人2年 法人成り 法人2年 の4年間は売上がいくらあろうと 免税

○個人は、1月に事業開業すべし(免税期間が24ヶ月になる)
 法人も、設立初年度を12ヶ月にすべし

○資本金は1,000万未満(必要なら3期目に増資)

○免税事業者だからと言って消費税を取ってはいけない ことはありません。請求書にきっちり消費税を記載してもらうようにして下さいね。

 

課税事業者選択届出書と簡易課税制度選択届出書一緒に出す そして2期目に不適用届

消費税では、還付が時々あります。

つまり預った消費税(売上など)から支払った消費税(経費など)を引いた残りが納税額になりますが、

支払った消費税のほうが多い場合があります。そのときは残りがマイナスになりますが、その金額が税務署から還付されるのですね。

いい例が、大きな設備投資をしたときですね。貸事務所を建てた場合などです。


法人を設立して貸事務所を建てた場合は、注意が必要です。

なぜなら法人の設立初年度は原則免税事業者だからです。

ので、私は消費税の課税事業者ですよという宣言(届出)が必要です。
この提出なければ還付がありません。お気をつけて。

さらに、2期目を考えると、ほぼ間違いなく簡易課税で計算したほうが有利です。ですので、この宣言(届出)もしておきます。設立初年度に!

適用年度を間違えないようにして下さい。1期目から簡易選択になってしまうと悲劇ですから。

また3期目は、免税事業者に該当するでしょう。2期目に課税事業者選択不適用届出書を出すのもお忘れなく。


 

相続対策で貸アパート?

相続税対策としては、ポピュラーなものですね。


アパート自体が貸家として、評価が低くなりますし、その下の土地も減額されます。借金で建てると、それもプラスの財産から差し引けるので、この3点(建物、土地、借金)を+-合計すると、マイナスになって相続対策になる
という仕組みです。


しかーし!

よく考えて下さいね。物事は全てうまくいくわけではありませんよね。

結果としてうまくいったという場合もありますが。



やって頂きたいのは、何千万もするアパートを建てるぐらいですから、きっちり先のことも見越して、「考えて下さい」 ということです。

そのアパートはおそらくあなたが死んだあともお子さんが管理していくことでしょう。長いスパンでお願いします。どうせならお子さんに「あれを建ててくれて本当に助かったよ」って言われたいですよね。



当事務所は、上記のように建てようかどうしようか、と悩んでいる方にも適切な提案をできるようにしています。

ただし、この場合は、全部の財産負債を見せて頂きます。一部の財産を見ただけでは、アパートを建てたほうがよいかどうかなんて、到底判断できないからです。


また、最近では貸アパートに限らない相続税対策のスキームがたくさんあります。当事務所は、ハウスメーカーなどとも連携を取って最善の方法を提案できます。
 

H19年税制改正。知っ得話 第三弾

第三弾!

減価償却の資本的支出の話です。

簡単に言うと、固定資産の価値が増加するような支出ですね。


税理士事務所に、「これは資本的支出に該当しますから、一度に費用にできません」

って言われたことないですか?あれです。


減価償却制度が今回改正になり、改正前より多額の償却費を計上できるようになったのは朗報です。


お得話は、「H10.3.31以前に取得し、現在定率法で償却している建物に資本的支出を加えた場合」 です。


H19.4.1以後に資本的支出を加えた場合、原則として新定額法で減価償却をします。

特例として、旧定率法で計算することもできます。(資本的支出時に本体に加算しておく必要あり)


おそらく旧定率法のほうが、早期に償却できるのではないでしょうか。


このような場合が出てきたときは、旧定率法を採用して下さいね。
旧ってなんか古臭い感じがしていやですけど。
 

H19年税制改正。知っ得話 第二弾

第二弾!

ローン控除はご存知ですか?銀行からお金を借りてマイホームを取得すれば借金の1%とかを税額控除してもらえるんですね。


実はこの規定は、所得税だけの話で住民税では全く関係のない話でした。


しかし、このたびの税源移譲。所得税の税率が下がり住民税の税率が上がりました。


となると、本人の所得税が減って、住民税が増えるのですが、その減った所得税(年税額)以上のローン控除額があった場合、還付してもらえる訳ではなく切り捨てられてしまうのです。

これは、大変。こうゆう場合に備えて、H11年からH18年までの間にローン控除の適用を受け始めた方については、本人の申請により住民税から税額控除をしましょう、という措置ができたんです。


上のような不足額が出た場合、源泉徴収票の摘要欄にその旨の記載が出てくるようです。役場もそれを見るはずですが、それだけでは、調整してもらえず、あくまで本人からの申請が必要のようです。
具体的には、各年度ごとに翌年3月15日までに「市町村民税・道府県民税住宅借入金等特別税額控除申告書」を市町村に提出する必要があります。
所得税の確定申告を行う人は、税務署に確定申告書とともに同控除申告書も提出する必要があります。
忘れないように注意して下さいね。

知らないと損する話でしたね。
 

H19税制改正。知っ得話 第一弾

H19年の税制改正も色々ありました。

大きいのは、減価償却でしょうか。役員給与の金額も1,600万に引き上げられましたよね。

個別・具体的には、ここでは控えますが、「知っておくとお得」な情報いってみましょう。


第一弾!


今盛んに宣伝している電子申告。国税庁は普及に躍起になっていますが、なかなか利用率が上がらないのが現状です。

ので、H19年申告から電子申告の5,000円特別控除が創設されました。電子申告すると、5,000円が税額控除されるわけです。


ただし、注意

○本人の電子証明書がついていないといけない
→つまり、電子証明付きの住基カードを取得しないと×
→税理士事務所に委任して、電子申告する場合でも上の電子証明がなくても電子申告できる(委任しても、電子証明がなければ5,000円の控除は取れない)

そして、何がお得かというと、年末調整で税額が確定した者でも上の電子証明を取得し、確定申告すれば5,000円の控除が取れる!!んです。

また、次回申告からは、申告会場に出向いたその時に、電子申告に必要なID・パスワードを即発行してもらえるとのことです。(今年までは、取得まで2~3週間必要でした)


つまり、1,000円で住基カードを取得して、申告会場にカードと勤務先からもらった源泉徴収票を持って行けば5,000円の還付が受けられえる、差引4,000円儲けですね。


H19年かH20のどちらか一回だけですので、あしからず。