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中小企業者等に対する欠損金の繰戻し還付制度が復活致しました

中小企業者等に対する欠損金の繰戻し還付制度が復活        

 平成21年度の税制改正(平成21.3.27成立)で、中小企業者等に対する欠損金の繰り戻し還付制度が復活することとなりました。
 
 我が国経済の基盤となって産業競争力を支えている中小企業については、金融不安や景気後退の影響を受けやすいことから、その経営を支援するため、現在適用が停止されている欠損金の繰戻し還付制度を復活することにより、赤字に陥っている中小企業の資金繰りを支えるための措置と考えられます。
 
 中小企業者等の欠損金の繰戻しによる還付制度については、その他の改正事項とは異なり、平成21年2月1日以後に終了する事業年度において生じた欠損金額から適用が可能となります。


 1 中小企業者等の欠損金の繰戻しによる還付制度の適用 

(1)改正前の制度
 
 欠損金の繰戻しによる還付は、法人が青色申告書である確定申告書を提出する事業年度において欠損金額がある場合には、その事業年度(以下「欠損事業年度」といいます。)開始の前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」といいます。)の所得の金額のうちに占める欠損事業年度の欠損金額に相当する金額の割合を乗じて計算した金額に相当する法人税の還付を請求できる仕組みになっています(法法80①)。
  
① 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告書である確定申告書を提出していることが必要です。
② 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していることが必要です。
③ 還付を受けようとする法人税の額、その計算の基礎その他財務省令で定める一定の事項を記載した還付請求書を提出することが必要です。(法法80③、⑤、法規36の4)

 ただし、上記の欠損金の繰戻しによる還付の規定については、一定の特例に該当する場合を除いて、原則として、平成4年4月1日から平成22年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金については適用されないこととされています(措法66の13①)。

(2)改正の内容
 
 欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置について、不適用対象から次に掲げる法人を除外し、これらの法人の各事業年度において生じた欠損金について、欠損金の繰戻しによる還付制度の適用ができることとされました(措法66の13①、68の98)。
 
① 普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社等を除きます。)
② 公益法人等又は協同組合等
③ 法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされているもの
④ 人格のない社団等

(3)適用関係
 
 平成21年2月1日以後に終了する事業年度において生じた欠損金額について適用されます(改正法附則47、62)。

※ 前年度に黒字であった法人が、経営の悪化に伴い今年度赤字に陥った場合、前年度に納付した法人税を還付してもらうことが出来る仕組みです。

 
     前期の法人税               当期の還付金額

500万円×22%=110万円       前期法人税×当期欠損金÷前期所得金額
                   110万円×200万円÷500万円=44万円
                      (当期が200万円赤字の場合)